ウミガメ

2020年1月 3日 (金)

ココロノトモ

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2020年1月3日・小潮

本当に、とても久しぶりに、ウミガメたちに会いに海へ行きました。
本当は、元旦に、新年のごあいさつに行きたかったのだけれども、
どうしても早く終わらせないといけない仕事が溜まりに溜まっていて、
実は今日もまだまだやることが山積みだけれども、
せっぱつまって焦る気持ちは、カメラと入れ替わりに防湿庫に閉じ込めて、
あたたかな陽射しに背中を押されるように、阿真ビーチへ素潜りに行きました。

海に入ると、すぐにキキが出迎えてくれました。
あいさつしようと潜ると、入れ替わるようにキキは水面へ上がっていきました。
キキがめざす先には、冬の少し陰りのある柔らかな色の空が広がっていました。
白い雲がこちらをのぞきこみ、
雲の隙間から太陽の光が笑っていました。
この空の向こうで、キミも笑っているだろうか...。
 
ずっと息ができないような日々が続いていたけれど、
海に潜ったら、いつのまにかすっと胸が通って、
息ごらえしているはずなのに、呼吸ができるようになりました。
キキと一緒に水面で、大きく深呼吸しました。
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この1年、これまでにないほどのたくさんの苦難に取り囲まれ、
問題の複雑さから、誰にも話せないことが多くなり、
胸いっぱいに消化不良を起こしていました。
吐き出すにも吐き出せず、とにかく問題解決に奮闘していましたが、
がんばればがんばるほど、消化不良は溜まっていきました。
胸につっかえて、息が止まりそうになったこともありました。

でも、
そうか、ボクにはキミたちがいるんだった...。
多くの人と会い、慣れない話をし、
人の間で必死にモガいてテンパっている間に、すっかり忘れていました。

今日は、キキとビーとショウとクッシーが話を聞いてくれました。
ビーは相変わらず、あの頃のミカのように砂まみれになって
ウミヒルモの根っこを夢中で掘って食べています。
小さかったショウとクッシーは少し体が大きくなっていました。
アカヒメジの子どもたちが楽しそうに海底を群れ、
臆病者のムラサメモンガラが横目でこちらをチラチラ見ながら、
ジグザグに泳いでいきます。
少し冷たい海の水がふんわりと体を包んで抱きとめてくれて、
空を見ながらひとときぷかぷかと雲のように浮かんでいました。

海から上がると、少し体が軽くなっていました。
仕事は押してしまったけど、十分に挽回する力をもらいました。

ありがとう。
ココロノトモたち。

まもりたい。
ココロノトモたち。

がんばります。


2019年1月15日 (火)

あけまして

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2019年1月15日・長潮

座間味島は、お正月から天候が安定せず、
浄水場の問題で忙しかったこともあって、
なかなか海の仲間たちにあいさつに行けませんでしたが、
やっと晴れて、海も凪いだので、阿真ビーチで素潜りしてきました。

アオウミガメのビーを見かけたので、寄っていくと、
海底に手をついて、ていねいに新年のあいさつをしてくれました。

・・・というわけではなく、海底を掘って、
ウミジグサという海草の根を、夢中になって食べているところです。

これからも、
海の仲間たちが、のびのびと暮らせる座間味島でありますように...


2018年2月 8日 (木)

ミカ、いちまでぃん

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2018年2月8日 小潮

あたたかな陽射しを浴びて、気持ちよさそうにしているのは、
アオウミガメの「ミカ」。
2005年からずっと阿真ビーチに住み着いていた常連さんです。

ちょっと変わった子で、海草の根っこが大好き。
海底を掘るので、自分で砂をかぶって、いつもよごれっこ。
息つぎにしても、
普通、みんな警戒して、できるだけすばやくすませるのに、
まったりプカプカ浮かびながら、
水中にぷくぷく気泡を出すのが、いつものクセです。

寒い日には特に、
ひなたぼっこするかのように、のんびりプカプカしていました。

冷え切った体には、太陽の陽射しがありがたい。
変温動物のウミガメなら、なおさらのこと。
恒温動物の自分たちですら、
水温の低さにガタガタ震える体で撮影しながら、
雲から太陽が顔を出すたびに、
そのあたたかさの恵みを改めて実感します。
すべてを等しく照らし、
本来の色を輝かせるその光の魔法とともに。

そんなささやかなしあわせを、
ウミガメたちと共有できるこの島の自然は、
なんて豊かなんだろうと思います。
それも、ミカが教えてくれたことでした。

この冬は、海が荒れて寒い日が多い座間味島ですが、
今日は久しぶりに、晴れ間が出て、気持ちよかったです。

ミカがいなくなってから、ちょうど一年。
季節はめぐり、ビーチ周辺では、
黄色い花のハマカブラや、白い花のシマアザミが、
春を招くように、咲きはじめています。
一時は全滅が心配された希少種ハマボウフウも
砂の中から花芽をのぞかせました。
そこに蝶が舞い、鳥たちも羽を休めにやってきます。
ビーチ保全活動の成果が少しずつ実を結んできて、うれしいです。
海辺では、アーサなどの緑の藻たちが広がりはじめました。

ミカが大好きだったこの阿真ビーチの自然が、
いつまでも、未来へと続いていくよう、
これからも地道にがんばろうと、誓いを新たにした今日でした。

ありがとう、ミカ。
いちまでぃん...

阿真ビーチ自然観察ガイドより
P24「ありがとうミカ」

2017年12月30日 (土)

あたらしい仲間

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2017年12月30日・中潮

今年は、阿真ビーチのウミガメにとっても、
いろいろと問題が起こった年でした。

悲しい別れもありましたし、
一番小さなカメが傷を負ったりと、
心配なこともいろいろありましたが、
新しい出会いもありました。

写真は、今日の阿真ビーチです。
この秋から新たに阿真ビーチに来るようになった
まだ名前を付けていない小さなアオウミガメです。
海底で体を安定させることがまだ上手ではないけれど、
好物の海草を見つけては、うれしそうに食べ、
冬の柔らかな陽射しを受けて、のびのびと泳いでいます。

その無邪気な姿は、希望を与えてくれます。

いつまでも、ウミガメたちが安心して暮らせる阿真ビーチであってほしいと
心から願っています。


(阿真ビーチのウミガメたちのことについて詳しくは、
 『阿真ビーチ自然観察ガイド』やウミ里会HPの中で、
 随時、お知らせしていきます。)

2015年7月 2日 (木)

6月の海

2015年7月2日・大潮

6月11日に早くも梅雨明けした沖縄ですが、
夏至南風(カーチベー)という強い南風が吹き続けていて、
海は荒れ気味です。

阿真ビーチには次から次へとゴミが流れ着いていて、
6月は15回ビーチクリーンをして、
187.03kgの漂着ゴミをひろいました。

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ある朝には、
漁網にからんだタイマイの子どもが打ち上げられていました。
網からはずすと、とても元気だったので、
そのまま海に放しました。
阿真ビーチ沖のリーフに住みついてくれるといいんだけどな。

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6月はサンゴの産卵もありました。
毎年観察しているサンゴ群体ですが、
今年はまさにいっせいに、すごい勢いで産卵しました。

2014年3月24日 (月)

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2014年3月22日・小潮

海はおさまって天気もよくなってきたけれど、
クジラを探してめざす外海は、白波がピョンピョン元気すぎて、
チビ艇BabyWhale号では、まだ厳しい海況です。

そんな時は、ウミガメに会いに行きます。
内海は風も波もすっかり穏やかになり、気持ちのいい凪の海。
空もだんだん鮮やかな青になってきました。

今日は、ミツやタクなど4頭の常連さんと、
座間味の内海では珍しいオスのアオウミガメに会いました。
実は、このオスガメ、昨年の春に阿真ビーチに入ってきて、
夏の間居ついていたカメで、
今年もまたやってきてくれたようなのです。
後頭板が4枚でV字型に並んでいるので、うみまーるでは「ブイ」と呼んでいます。
久しぶりのうれしい再会となりました。

長い前ヒレとしっぽが立派です。

ウミガメにとってちょうどこれから恋の季節の始まりです。
しかし、甲羅は冬の間に繁茂する藻で覆われて、美しい甲羅の模様は見えません。
水温が高くなるにつれて、藻の勢力が衰えて、だんだんきれいになっていくことでしょう。
それがカメの世界では恋に関係するかどうかはわからないけれども。

そんなこちらの心配事など知ってか知らずか気にも留めない様子で、
ブイはのんびりと海草を食べ、時々息継ぎに上がっては、空を眺めていました。

毎年、恋の季節の常連さんになってくれるといいなと思います。

2014年1月 2日 (木)

天馬のように

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2014年1月2日・大潮

座間味島は穏やかな新春です。
今日もあたたかく晴れて、海もベタ凪。
阿真ビーチのウミガメたちに、
新年のごあいさつに行きました。

みんな寝正月なのか、
海草を食べにきていたのは、2頭だけ。
ミーハとキキに会いました。

お腹いっぱいになると、
引き始めた潮にのって、
ミーハが沖へと泳ぎ始めました。

途中で、通りかかった真っ白な砂地の海。
空に向かって大きく息継ぎしたあと、
気持ちよさそうに、両手をはばたかせて、
澄んだ青の世界へ泳いでいきました。

空をかける天馬のように、
のびのびと自由にマイペースで。
今年も、よんなーよんなー生きていこう。


2012年11月 7日 (水)

ポカポカ太陽

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2012年11月7日・小潮

今日は朝から、いい天気でした。
ポカポカと穏やかな陽射しがふりそそいで、
海も空もパステル調の一日です。

写真は、顔に水滴のような模様があるので、
「しずく」と呼んでいるウミガメです。
今日は、9個体のウミガメに出会えました。

ウミガメの名前については、
ウミガメと里海を守る会のHPの
阿真ビーチの常連さんのページをご覧ください。
http://www.umigame-zamami.com/cn27/friends.html

2012年10月24日 (水)

夕凪にたそがれる

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2012年10月24日・長潮

明日が若潮ですが、
明日は用事でウミガメ個体数調査ができないので、
今日、行ってきました。
海水浴客が少なくなってきたからか、
今日は8個体に出会えました。

写真のウミガメは、甲羅の右後ろが欠けているので、
「みぎが、かけてる」で、ミカと呼んでいる子です。
写真集『うみまーる』の表紙に写っている子で、
もう7年も観察を続けています。

波静かな、とろ~んとした夕凪に、
息継ぎで水面に顔を出したミカも、
なんだか、たそがれているようでした。

2012年10月23日 (火)

ミーハ

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2012年10月22日・小潮

秋になり、昼間の潮の干満がゆるやかになってきました。
ウミガメたちも、のんびり海草を食べています。
写真のウミガメは、
右の後頭部にハートのような模様があるので、
「みぎにハート」で、「ミーハ」と呼んでいる子です。
さわやかな風の吹く、のどかな昼下がりです。

ウミガメの名前については、
ウミガメと里海を守る会のHPの
阿真ビーチの常連さんのページをご覧ください。
http://www.umigame-zamami.com/cn27/friends.html

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