美ら海のなかまたち 7
2014年7月28日(旧7月2日)・大潮
関西で朝日新聞を購読されている方に
毎月配られるカレンダー裏面の連載コラム
「美ら海のなかまたち」の第7回は、スクです。
「スクドーイ」というタイトルで、アミアイゴの子どもたちを紹介しています。
スクは、沖縄の方言で、アイゴの仲間の幼魚のことで、
夏の新月の頃、特に旧暦6月1日と7月1日前後、
何万という大群で浅瀬に押し寄せてきます。
毎年、この時期なると、島人はワクワクソワソワ。
朝早くから、海岸で海を見つめ、
水中を移動してくる丸くて大きな茶色の影を探しています。
昔は「スクドーイ(スクが来た!)」の声が上がれば、
島民こぞって、網やザルを手に浜に駆けつけ、季節の海の恵みをいただきました。
獲ったスクは塩漬けにして保存(スクガラスと呼ばれる)し、
重要なタンパク源やカルシウム源として、各家庭で大事にされてきました。
子どもが育ち、就職などで島を出る時、このスクガラスを1壷持たせて送り出したそうです。
スクは卵から孵ったすぐの頃は、沖でプランクトンを食べて育ち、
浅瀬に移動して藻を食べ始めると、身が苦くなるため、
島人は、藻を食べる前に急いで獲り、それ以降は獲りません。
スクは、藻を食べ始めると、銀褐色の体が金色になるので、それが合図です。
人の命を支えてきてくれた小さな命たち。
その輝きはキラキラとまぶしいです。
今年は残念ながら、島では大群は見つからず、不漁でした。
でも、水中では、少し大きく育ったスクの小さな群れをあちこちで見かけます。
元気に育って、たくさん卵を産んで、
来年はまた、スクも人もにぎやかな海になるといいなと思います。
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