アオウミガメの恋の季節
2014年6月9日・中潮
ウミガメの産卵の季節が始まっています。
無人島など人の来ない砂浜では、
すでに一足早く恋の季節を終えたアカウミガメが産卵し始めています。
少し沖の海では、アオウミガメが相手を見つけて、ランデブー。
オスとメスがじっと抱き合って交尾しながら、
どこまでも青く澄んだ世界をゆったりと漂います。
この日出会ったカップルは、
最初、船上から見た時には、普通の交尾の様子と違い、
水面でクルクル回ったりして、落ち着きのない感じだったので、
メスにその気がないのか、
それとも、まだ経験の浅い若いオスなのかなと思って、
静かに海に入って近づいてみると、
メスの左の前ヒレ(前肢)が付け根の部分しかありませんでした。
よく見ると、サメなどに噛み切られたというより、
ずいぶん前に壊死してなくなったような感じです。
それで、オスが乗っかるとバランスが取れずに、
うまく交尾ができないでいたのです。
海外では、ウミガメの子どもがネットに絡まったまま漂い続け、
繊維がきつく絡まった前肢が壊死して失われた状態で見つかった記録もあります。
このメスも、もしかしたら、そういうことがあったのかもしれません。
カップルは、そのうちだんだんと、
何とかお互いにバランスを取り合いながら、静かに交尾していました。
これからメスは、卵を産むため、
砂浜に上陸するのに100kgほどもある身重な体を前肢で這って進みます。
まず広く穴を掘るのも、産み終わって巣全体に砂をかけるのも前肢です。
彼女はきっと片腕でがんばって上陸し、砂をかき、立派に卵を産むと思います。
その懸命な営みを、ゴミや人工の障害物がどうか邪魔しませんように。
たくましく美しい命。
彼女の子どもたちが無事に海へ旅立つ日を願っています。
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