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2014年6月

2014年6月 9日 (月)

アオウミガメの恋の季節

20140530

2014年6月9日・中潮

ウミガメの産卵の季節が始まっています。
無人島など人の来ない砂浜では、
すでに一足早く恋の季節を終えたアカウミガメが産卵し始めています。

少し沖の海では、アオウミガメが相手を見つけて、ランデブー。
オスとメスがじっと抱き合って交尾しながら、
どこまでも青く澄んだ世界をゆったりと漂います。

この日出会ったカップルは、
最初、船上から見た時には、普通の交尾の様子と違い、
水面でクルクル回ったりして、落ち着きのない感じだったので、
メスにその気がないのか、
それとも、まだ経験の浅い若いオスなのかなと思って、
静かに海に入って近づいてみると、
メスの左の前ヒレ(前肢)が付け根の部分しかありませんでした。

よく見ると、サメなどに噛み切られたというより、
ずいぶん前に壊死してなくなったような感じです。
それで、オスが乗っかるとバランスが取れずに、
うまく交尾ができないでいたのです。

海外では、ウミガメの子どもがネットに絡まったまま漂い続け、
繊維がきつく絡まった前肢が壊死して失われた状態で見つかった記録もあります。
このメスも、もしかしたら、そういうことがあったのかもしれません。

カップルは、そのうちだんだんと、
何とかお互いにバランスを取り合いながら、静かに交尾していました。

これからメスは、卵を産むため、
砂浜に上陸するのに100kgほどもある身重な体を前肢で這って進みます。
まず広く穴を掘るのも、産み終わって巣全体に砂をかけるのも前肢です。
彼女はきっと片腕でがんばって上陸し、砂をかき、立派に卵を産むと思います。
その懸命な営みを、ゴミや人工の障害物がどうか邪魔しませんように。

たくましく美しい命。
彼女の子どもたちが無事に海へ旅立つ日を願っています。

 

2014年6月 2日 (月)

美ら島の生物ウォッチング100

20140524

2014年6月2日・中潮

沖縄の自然を学べるオススメのガイドブックの紹介です。

この本は、絶版になっていた
『南の島の自然観察』(東海大学出版会刊)を復刊させたもので、
写真はカラーになり、新しい項目も増え、より充実した内容になっています。
海から山、植物、動物など、様々なトピックスが分かりやすく解説されていて、
沖縄の自然の基礎が学べるとてもいい本です。

沖縄本島で海の環境教育活動を行っている「しかたに自然案内」の
鹿谷麻夕さんと鹿谷法一さんが、編集レイアウトと一部執筆を手がけました。
麻夕さんは二枚貝が専門、法一さんはカニ博士です。

「サーフィンをする貝」「カラッパの缶切り」など、ユニークで興味深い話題が多く、
自然の不思議や生きもの達の生きる智恵などを知る観察視点のヒントも満載です。

沖縄の自然に興味のある方は、揃えておきたい1冊です。
ぜひ、書店で手に取ってみてくださいね。

東海大出版会の新刊案内
http://www.press.tokai.ac.jp/bookdetail.jsp?isbn_code=ISBN978-4-486-02009-7


2014年6月 1日 (日)

美ら海のなかまたち 6

20140521

2014年6月1日・中潮

関西で朝日新聞を購読されている方に
毎月配られるカレンダー裏面の連載コラム
「美ら海のなかまたち」の第6回は、サンゴ(ミドリイシ)です。

「初夏の夜の夢」というタイトルで、サンゴの産卵を紹介しています。

初夏は、多くの生きものたちの新しい命が誕生する季節。
水温が高くなるにつれ、海の中は、小さな命であふれかえります。
写真は、まだ和名のないAcropora doneiという種類です。
無数のピンクの小さな命のもとが、
暗い海にゆらゆらと旅立っていく様子は、とても幻想的です。

今年の座間味の一斉産卵の予想は、次の満月の頃。
雨が多くて水温が低かったので、どうなるかなと心配していましたが、
このところ、晴れ間も多くなってきたので、
きっと予定通り、産まれてくることでしょう。

昨日は昼間、サンゴの周りで、
モヤのようなたくさんの小さな粒々が見えたので、
昼間に産卵するサンゴのバンドルかと一瞬思いましたが、
よくよくじーっと観察してみると、その小さな粒がたまに泳いでいます。
その泳ぎ方から、魚の赤ちゃんのようです。
肉眼では、ヒレも目もどんな形なのかも分からない、本当に本当に小さな命。
がんばれ!と心の中でエールを送りながら、見守りました。


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