
2025年1月1日(旧暦12/2)・大潮
あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い申し上げます。
鯨春です。座間味島にも冬がやってきました。
今シーズンの座間味の初クジラは11月30日。
阿嘉島と安室島の間の内海でザトウクジラの親子が確認されました。
いつもよりずっと早いので自然環境の変化が心配になりますが、
クジラたちが故郷の海へ無事に帰ってきてくれて、
新しい命が誕生していること、とてもうれしく思います。
島のみんなが「おかえり」という気持ちになる季節です。
まずは、ウォッチングやスイムなど
直接的な人間活動のストレスをできるだけ軽減し、
安心して子育てできる環境を維持して、
この沖縄の海でのびのび育ってほしいと願うばかりです。
忙しさにかまけて、この数年、なかなか近況報告ができずにすみません。
本来の自然写真家としての撮影や創作、ビーチクリーンなどの日課に加えて、
なんだかいろんなことが次々と起こって、
一息つく間もなく次の問題が重なったりして、
脳ミソも精神も体もキャパオーバーの、めまぐるしい毎日を過ごしています。
四苦八苦しながら、何とか少しずつでも島の自然を守ることができていて、
その輪も少しずつ広がっていることに感謝しています。
みなさんの応援やご協力のおかげです。
昨夏、座間味島は、適度に台風が近づいてくれたので、
心配していたサンゴの白化も最小限で済みました。
阿真ビーチでは、アオウミガメのお母さんの上陸跡を6回確認し、
そのうちの1箇所から、赤ちゃんガメが海へ一斉に旅立った跡を確認しました。
人間界ではちょうど海神祭のためのアミジケー(追い込み漁)が行われた夜でした。
秋になって観光客も落ち着き、
白化していたサンゴやイソギンチャクにも褐虫藻が戻り始め、
一安心と思っていたら、シロレイシガイダマシなどが異常発生し、
今、ダイビング協会で駆除活動に励んでいます。
また、一昨年頃から釣り針や釣り糸がかかるウミガメが増えているので、
その対応や対策にも追われています。
専門の獣医師や漁協、環境省、役場と連携し、釣り人に協力を呼びかけて、
ゾーニングなどしてそれぞれが歩み寄れるよう工夫できたらと話し合いを進めています。
阿真ビーチのオーバーユースもみんなで協力して改善に向かう一方で、
ちらほらとルールやモラル違反をする人が後を絶たず、あいかわらず奔走する日々です。
地域猫のボランティアも地道に続けています。
ボランティア団体と行政が一緒になってTNRをがんばり、
島で見かけるほとんどのネコが「さくらねこ」になりました。
手術の手伝いでネコの下腹部の毛剃りや消毒の腕が上がりました(笑)。
多頭飼育崩壊の家に集まるネコたちの世話などもしています。
それでも、どこに隠れていたのかと思うほど、
季節になると子猫が生まれ、衰弱したお母さんが現れ、
昼夜問わず緊急活動している中心メンバーには頭が下がる思いです。
今年は、地域のネコトイレ設置に乗り出す予定です。
最近は、クジラをめぐる問題が深刻化していて、
急きょ3年前から、助っ人ボランティアで、
座間味村ホエールウォッチング協会の事務局長をやることになり、がんばっています。
協会存続の危機まで引き起こした村内に及んだ影響の波は、何とか食い止めました。
毎年、沖縄近海のクジラ関係の団体や研究者などが集まって、
沖縄美ら島財団主催の『沖縄ザトウクジラ会議』が行われるのですが、
一昨年は、環境省もタイアップして、シンポジウムが開催され、
当協会からは、
クジラにストレスを与えないよう自主ルールを守り、
保護と持続可能な観光利用の両立を図ってきた
座間味の「クジラにやさしいウォッチング」を発表し、
特に、親子クジラの保護に長年努力してきた村民の熱い思いを
伝えることができました。
今年は、ハワイの鯨類研究者も講演に来てくれて、
関係者みんなでザトウクジラの保全について考えるワークショップを行いました。
沖縄県の条例で守れるようにできないかなど、
世界水準の対策に向かって動き出しています。
同時に、慶良間でも、座間味と渡嘉敷が連携して、
エコツーリズム推進法によるホエールスイム規制の条例化に向けて取り組んでいます。
親子クジラが安心して子育てできるよう
「母子クジラのサンクチュアリ」(ウォッチング禁止エリア)も設定しました。
近年、国内でホエールスイムが流行り、大きな問題になっています。
世界では禁止の方向にあるものの、
SNSやメディアなどの影響で、日本では見直しがなかなか進まない状況で、
生まれたばかりの赤ちゃんクジラなどへの影響が非常に心配されています。
ザトウクジラにとって、沖縄近海は、子どもを生み育てる繁殖海域です。
特に、島々に囲まれ波穏やかな慶良間の海はその中心で、親子クジラのゆりかごです。
滞在する数ヶ月の間、母クジラは何も食べずに、
身を削って我が子に母乳を与え続けます。
生まれたばかりの赤ちゃんクジラは母乳をたっぷり飲み、
しっかり休息することで成長します。
しかし、親子クジラに対する過剰な観光利用(オーバーユース)が行われると、
母クジラがストレスや余計な体力消耗で母乳の出が悪くなったり、
赤ちゃんクジラが授乳や休息時間の不足で体力をつけられなくなることが
研究者の調査で分かっています。
年々、赤ちゃんクジラの死亡漂着が増えていることも、
オーバーユースの影響がないとは言い切れません。
春になると、親子クジラは遠くベーリング海などの北の摂餌海域へと旅立っていきますが、
沖縄近海で十分に成長できなかった赤ちゃんクジラが、
長い旅の途中で人知れず命を落としている可能性があるのです。
「スイム全面禁止」とまではいかなくても、
せめて、親子クジラとだけは自粛する方向にならないものか働きかけていて、
この3年で、沖縄近海の同業者で意見交換をしたりして、相互理解と連携を深めてきました。
慶良間だけでなく、同じ繁殖個体群の恩恵を共有する沖縄本島や奄美とも一緒に、
クジラにとっても、ヒトにとっても、しあわせな未来を築いていけるよう、
引き続き、がんばります。
全国各地で地震や大雨などの災害が度々起きていて、とても心配です。
被災地の一刻も早い復興と異常気象の収まりを日々祈っています。
災害対策等も急務でとても大事ですが、一方で、
一人ひとりができる日常の小さな温暖化対策をみんなが実践していくことが
ますます重要だと感じています。
温暖化で通常の自然現象が見込めず、無理に再現するため化石燃料大量に使うとか、
脱炭素化をめざしたはずなのにCO2吸収する森林を大規模に伐採するとか、
そういったニュースや現状を見るたびに、本末転倒というか、
余計に温暖化を招いている出来事があちこちで展開されているように思えてならないです。
自然に争わず「休む」「受け入れて工夫する」という選択も必要ではないかと思うのです。
エアコンの温度を変える前に、一枚脱いだり、一枚重ねたり、
車は電気やハイブリット導入できなくても、こまめにアイドリングストップしたり、
迷ったらプラスチックより自然に還る素材を選んで長く愛用したり、
みんながちょっとずつ、
いつもの暮らしの中に、自然を思う気持ちを身の丈で努力していければ、
大きな成果になると思います。
1人の100歩より、100人の1歩。
より多くの人々の、自然と寄り添う心豊かな暮らしを祈っています。
南の島も、風が北に回ると寒さがぐっと増すようになりました。
最低気温がめったに10℃を下回らない環境で
「サムイノイヤダ」と贅沢な文句を言いながらも、
冬は冬らしく夏は夏らしくあってほしいと願い、
ちゃんと四季がめぐっていることに感謝しています。
くれぐれも風邪などひかれないよう、
体も心もあたたかくして、楽しいお正月をお過ごしください。
心身ともにすこやかに、笑顔あふれる1年になるよう、祈っています。
2025年も、うみまーるをどうぞよろしくお願いいたします。
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